海外で出産した場合、出生届の書き方は戸惑うことばかり。
ただでさえ分からないことだらけのところ、現地の住所の記載や細かいところが分かり難いですよね。
そこで、出生届の書き方の記入例、各項目の解説、海外で出生届を出す場合の注意点などを詳しくまとめました。
海外出産の出生届の書き方
海外で出産した場合の出生届は、基本的には日本で出産した場合とほぼ同じです。
ただ、やはり違う部分もいくつかあり、この部分を間違えると面倒なことになるので、できるだけ準備しておきましょう。
>>海外で出産したら国籍どうなる?出生届や帰国時のパスポートは?
海外で出産した時の出生届はどこでもらう?
出生届の用紙は、大使館や領事館で備え付けのものを貰うことができます。
郵送にも対応されていることもあります。
用意されている用紙は通常横向きA3サイズ、白黒です。
国によっては日本の公館のウェブサイトからダウンロードすることも可能です。
その場合は通常の左半分のみのA4サイズになっていることもありますが、右半分は出生証明書となる欄で、医師に日本語で記載してもらう用ですので、海外出産の場合は不要(別途添付)となります。
出生届の書き方の基本ルール
出生届の書き方の基本的なルールは
使用できる文字はカタカナ、平仮名、漢字。
アルファベット等、外国の文字や「・」(なかてん)、「,」(コンマ)、「.」(ピリオド)は使えません。
子供の名前に使用できるのは常用漢字と人名漢字。
子供の名前に使用できる漢字は、常用漢字と人名漢字のみです。
常用漢字と人名漢字はこちらの法務省のページをご覧ください。
>>法務省 子の名に使える漢字
訂正する場合は、間違えた部分に二重線を引き、訂正印を押す。
修正ペンや修正テープの使用は不可です。
印鑑は朱肉を使用する。
朱肉が無い場合は、黒以外の、できれば赤や紫のインクを使用する。
印鑑が無い場合は拇印で。
この辺りは日本での出生届提出時と同じです。
出生届の書き方 記入例
続いて海外で出産した場合の出生届の書き方、記入例です。
サンプル画像と合わせてご覧ください。
生まれた子についての欄
➀提出日
大使館または役場に提出する日、郵送の場合は記入した日。
➁提出先
「在○○日本国大使(殿)」「在○○日本国総領事(殿)」(「大使」「総領事」のどちらかに○を付ける)
日本の役場に提出する場合は「○○県△△市長(殿)」など。その場合、「大使」「総領事」の文字を二重線で消します。
➂生まれた子の氏名
子供の氏名は漢字または平仮名、カタカナ。
読み方は平仮名で記入。
➃父母との続き柄
父母との続き柄は、第一子なら長男/長女、第2子なら二男/二女となります。
次男/次女では無いのでお間違いなく。
➄生まれたとき
出生時間は12時間制で記載、昼の12時は「午後0時」、夜の12時は「午前0時」となります。
➅生まれたところ
出生した病院の住所となることが一般的です。出生証明に記載されているものを、カタカナ表記にします。
海外の住所の場合でも、日本式に国名から順番に書きます。
※架空の住所です。
英名や現地名を日本語のカタカナにする場合や、郡市町村の表記は、その土地の日本大使館や領事館で正しく教えてくれることもあります。
私は、表記を自己流で訳してカタカナ表記にしたところ、窓口で全て修正して頂きました。
例えば、ロサンゼルス市とするかロスアンジェル市とするか、など細かい違いがあります。
➆子の住所
現在住んでいる場所の住所を記載します。
➇の出生場所と同じく、日本式に書きます。
➈世帯主の氏名と、世帯主との続き柄
世帯主というもの(日本の住民票のようなもの)がある国であれば世帯主を記載しますが、通常は父母どちらかの名前で大丈夫です。
生まれた子の父と母についての欄
⑩父の母の氏名と生年月日
父または母が外国名でミドルネームがある場合、ファーストネームの後にミドルネームを書きます。
日本人の父母の生年月日は昭和、平成などの元号で、外国人の父母の生年月日は西暦で記入します。
※婚姻時に戸籍に記載されている名前そのまま同じものを記入します。
>>国際結婚の子供はパスポートの名前どうなる?表記は外国名でできる?
⑪本籍及び国籍
父母の本籍がある場所を記載します。
国際結婚の場合は、日本国籍のある方が筆頭の戸籍に入っているかと思いますので、その住所を記載します。
⑫同居を始めたとき
説明の通りですね。結婚式を挙げた日または同居を始めた日のうち、早い方を記入します。
⑫子どもが生まれたときの世帯のおもな仕事と父母の職業
国税調査に関わることなので、そのまま記載すれば問題ありません。
その他
⑭その他
海外在住で子供が重国籍となる場合に特に重要なこの欄。
日本国籍を留保する 署名と捺印
ここに署名捺印しておくことで、在住国または他国の国籍を取得した場合も、日本国籍を22歳まで保持することができます。
忘れると、後でとっても面倒なことになるので、子供に日本国籍を与えたい場合は必ずチェックしてくださいね。
その場合、出生届提出時に別途、国籍留保の届けが必要になります。
国籍留保の届け出については、提出先に問い合わせることになるので、重国籍で日本の国籍を留保する予定の場合は、最初から国籍留保の署名欄がある大使館や領事館の出生届を使うことをおススメします。
届出人
⑭届出人
通常は父または母となります。
代理で提出してもらう場合は、届出人としてではなく、ただ提出の代理をするだけで委任状が不要なこともあります。
が、ここは大事なことなので、提出する公館または役場に事前にお問い合わせ下さい。
特に、日本の役場は海外出産のケースに慣れていないところも多いので、役場によって対応が変わります。
海外で出生届ミドルネームはどうする?
日本の出生届で、ミドルネームは認められていない(書くところが無い)ので、ミドルネームは「名」の欄にくっつけて、名前+ミドルネームが一般的のようですが、違う順番でも良いようです。
ミドルネームを省いて届け出ることも可能です。
ただし、その場合は戸籍にもミドルネームは載りません。
また、重国籍で、他の国と届出た名前が違う場合は備考欄に
「アメリカでは、田中アンナ花子で届け出ているが、日本では、田中花子で届け出る」
と記入することを指示されることもあるようです。
パスポートを作るときは、基本的には戸籍の名前がそのままパスポートに載るのですが、例外もあります。
その辺りのことはこちらをご参照ください。
海外で出生届を出す時の必要書類
海外で出生届を出す時の必要書類は
- 出生届
- 出生証明書
- 出生証明書の和訳
- 父母の身分証明書
父母の身分証明書は日本人ならパスポートコピー(写真ページ、VISAページ)、日本人以外はIDカード、さらに日本人の場合は戸籍謄本が必要なこともあります。
出生証明書の和訳は、翻訳者の氏名や住所が明記してあれば自身で行っても良いです。
出生届を郵送で海外から送る場合の注意点
出生届の期限は、出産日を含めて14日以内(国外で出生のときは、3ヶ月以内)と記載されていますよね。
私は、現地の大使館ではなく日本の家族に送って、日本の役場に提出してもらったのですが、
海外での出生は3ヵ月以内だから、と余裕で14日を過ぎていました。
そしたら役場の人に、「海外で生まれても日本の役場に提出する場合は14日以内です。」と言われてしまいました。
現地の大使館や領事館に提出する場合に限り3カ月以内だと。
これは初耳でしたし、実際に2週間を過ぎてから出生届を出した例も聞いたことがあるので驚きました。
最終的に渋々受け取ってもらえたようですが、2週間以内に出せない場合は事前に役場に問い合わせておいた方が無難です。
その際は、電話に出た方の名前も確認しておきましょう。
まだ大丈夫とギリギリまで伸ばすと、問題が起きる元です。
海外で出生届を日本に郵送する場合
海外で出生届を日本に郵送する場合、前述の注意点に加え
・日本の家族に送って代わりに役場に行ってもらう
・役場に直接送る
どちらが可能か、委任状などは必要か、なども事前に確認されてください。
こちらの記事もご参考に。
海外出産の出生届の書き方。必要書類や郵送時の注意点 まとめ
日本では何かとスムーズに行くことも、海外では色んな障害があることもあります。
特に出産後はあまり動けないので、できるだけ事前準備をしておくといいですね。
最低でも、どこに提出するかは決めておいて、提出先の提出期限、提出方法、提出できる人、必要書類などは確認しておきましょう。
住所の日本語表記も、いざ書くとなるとややこしいので、確認しておくことをおススメします。